2018年6月アーカイブ

シーズンイン前点検

 お暑うございます。蒸し暑さが老骨?中年骨にこたえます。なのに、於MIA未入冷房(MIAニハ未ダ冷房入ラズ)。日本語講座の受講生、先生方もお気の毒です。窓を開けてわずかに外気を入れても、ほとんど涼しくならず、ただただおそとの騒音が轟然と入ってきて、授業が著しく侵害されます。閉めたら閉めたで茶碗蒸しができそうな高温多湿。ああ、茶碗蒸し食いたい、じゃなくてなんとかしてくらはい。そんな声が大きくなったころに一枚の通知。

 「シーズンイン前点検を某日実施し、それで問題がなければ翌日から冷房を始動します」とかなんとか。

 通知を見ると、どうやら冷房設備に故障が見つかり、その修復作業にてこずっていたようなのでした。というわけで、あと1週間ぐらいは冷房は無しみたいです、合掌。

 ワタクシ、へそ曲がり担当大臣といたしましては冷房がまだ動かないショックよりも「シーズンイン前点検」という文言が気になったのでした。「チューブか!」と。それはシーズンインザサン。

 日本語を学んでいる外国人から「カタカナ語が難しい」とはよく聞く話です。しかし、テレビ、ラジオといった広く普及したカタカナ語彙からは逃れられないので、それはそれとして覚えるしかありません。

 しかしながら、「シーズンイン前」的なほとんど無意味なカタカナのなんと多いことか。別に「稼働前点検」でも「定期点検」でもいいし、もっと言えばただ「点検」でも不足はないじゃないかと。

 前世紀末に通った自動車学校で「安全マインド」と言われたときもくらくらしたことを昨日のことのように思い出しました。なんだよ安全マインドって。オンマイマインドみたい(激しく意味不明)。

 ある種のカタカナ語は伝えることを放棄した思考停止の感を覚えます。かっこよさが求められるような商品のキャッチコピーだったらまだ分かります。カタカナ語で少し煙に巻いて雰囲気を醸成しようというのでしたら。だけど、シーズンイン前とか安全マインドとか、全くカタカナである必要のない、言い換え可能なカタカナは「やさしくない」と思うのです。

 このブログを書きながら、柄にもなく熱を帯びてきたのは、ひとえに熱さの所為にござりませう。シーズンイン前点検が首尾よく行きさえすれば、おぢさんも少し冷えていつものぼんやりに戻ると思います。


とーます
※はっぴーぷれみあむふらいでー・・・あれ、もうこれやらないの?いつもだと、朝一番に庁舎内には放送が流れるんですけど、今朝はそれがなかったような。
※このブログを昼前にアップしたら、午後の始業時間前に例の放送が流れましたよ。だれかがこのブログ見ているのか。

ワールドカップの余波

 試合までさっぱり盛り上がっていなかったワールドカップでしたが、現金なものと言いますか、さんざんっぱら悲観的観測を語っていらした方も全然興味を示されていなかった方も急に盛り上がってまいりましたねえ・・・すみません、いやみで。

 MIAとワールドカップ、シチューとわさびぐらい関係ないはずなのですが、余波があります。第1戦前からメディア各社様から「宮城県に住んでいるコロンビア人、紹介してください」「セネガル人知っていませんか?」「ポーランドのひとは?」とのお問い合わせを断続的に受けております。

 平和なはなしですし、しばらくぶりに連絡を取り合うきっかけにもなりますので、以前MIA日本語講座で勉強していたコロンビア出身のOさんにも電話してみました。Oさんが作るコロンビア料理、美味しそうでした。ワタクシも紹介した手前、録画して観ましたよ。

 コロンビア人、セネガル人、ポーランド人、それぞれ宮城県には一桁しか住んでいません。それも統計上で知っているだけで、我々がそのすべての方々を知っているわけではありません。ときどき、MIAは入国管理局とつながっていて、在留に関する様々な情報を入国管理局に報告しているのではと思っている疑心暗鬼さん、想像力たくまし子さんもいらっしゃいますが、けしてそんなことはございません。むしろご相談いただいた内容や聞き知った話は個人情報として絶壁のガードでブロックしているつもりです。

 ハンパない盛り上がり、どこまで続きますことやら。さっき、また別の余波があったところです。


とーます
※「ポーランドの人」、こういう演歌ありそう・・・ないか。
※某局の某バンデスではコロンビアとセネガルの料理対決をしていました。セネガルの方はラマダン(イスラムの断食)期間中だったらしく、自分で作ったものを食べることができず、なんだか気の毒でした。

役所もつらいよ

 最近、ちょっと骨のある相談対応が続いております。こちらの対応は原則、ことばのギャップを埋めるお手伝いをし、その問題を解決できる専門機関におつなぎすることですので、我々自身が頭を悩ますことではないのですが、それでもその途中のやりとりを垣間見て思うこともあるにはあります。

 役所は仕事を進めるにあたって法律、条例といったルールが厳然とあり、当然ながらそのルールのとおり進めなければなりません。多くのルールは外国人にも同じように適用されます。となれば、外国人に対してもそのルールに基づいた説明が行われます。そこに問題が生じることがあります。

 役所はルールに忠実であろうとしますので、そのルールを簡単に分かりやすく説明しようとはまずしません。そうすることで忠実さを欠いてしまう恐れがありますから、致し方ないことです。ただ、その忠実な説明が相手に伝わらないとしたら・・・伝わらない忠実な説明と伝わるが忠実さを欠く説明。どちらを取るべきか。それとも伝わらないのはあなたの問題ですと言いますか?

 もうひとつは、若干の忠実さを欠くことを恐れずに伝わることを選んだとしても、はたしてどうやったら伝わるようにできるかが分からないという問題。法律の文書はそうでなくても分かりにくいものが多いです。厳密で漏れがないことを期するあまり、日本語で読んでもはにゃ?なことがちょくちょくあるので(ワタクシだけですか?)、日常生活レベルの日本語力では到底理解できないだろうなと思います。かといって、その厳密さをどこまで犠牲にしていいものか、役所の現場担当レベルでは決められないでしょう。ことと次第によってはトラブルになりかねません。

 ルールはおよそ全国共通のものですから、日本中どこでも使える「やさしいお役所文書」「より伝わるお役所説明集」といったものが準備できないものかしらと思います。また、やさしくするのに限界がある場合には多言語に翻訳することも必要になるかもしれません。それも、各々のローカルでやるのではなく、そろそろ日本全国共通多言語資料があってもいいようにも思います。

 外国人労働者を増やすおつもりでしたら、お国の関係各位にはこういうこともぜひご検討いただきたい。現場はとても苦労していますし、これからはさらに苦労することになると思いますよ。


とーます
大阪府国際交流財団では多言語で地震に関する相談を受け付けているようです(6月19日現在)。
「外国人の子ども・サポートの会」さんから、文集「虹のつばさ」を寄贈いただきました。

会員さんによる編集会議がMIAで行われていて、作業のご苦労の一端を垣間見ていたので、完成した冊子をお持ちいただいたときは、「ついにできたのですね!」と、こちらも感激しつつ受け取りました。

会の発足からこれまでの活動の歴史、会員の皆さんの作文などがまとめられた、充実の一冊なのですが、今回、特に心に響いたのは、「サポーター会員」の作文です。

サポーター会員、すなわち、子どもたちを支援してきた方々の、それぞれの活動を振り返っての様々な感想が綴られているのですが、その殆どの方が、
 「たくさんの気付きを得た」
 「サポート活動から得た経験は私の財産」
 「互いの気持ちを共有することの嬉しさに気づいた」
 「自分の将来にとっても重要なものになる」
と、サポート活動が、自分にとっても「学びの機会」になっていることを、実感を込めて述べているのです。

サポート活動というものは、一義的には、サポートを受ける側の役に立っているかどうかがポイントですが、それでも、それは決して一方的なものではなくて、サポートする側にも何らかの価値が与えられる、相互作用があるものなのだな、ということが、皆さんの作文からひしひしと伝わってきます。

もしかして、反応がダイレクトに伝わってきやすい、子ども達を対象とした活動だと、「相互作用」的なことがグッと強まるのかもしれないですね。

・・・などど、したり顔で書いてるような、このブログを読むよりも、実際の作文を読んでもらった方が、このことがしっかり伝わると思うので、是非多くの方にこの文集を手に取ってもらいたいです。「外国人の子ども・サポートの会」の活動の意義深さが、改めて感じられる一冊です。

(OZ)

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外国人といっしょに働くためには

 骨太の方針ってフレーズを見るたびにワタクシの頭の中では犬がおいしそうにご飯を食べはじめるんですが、それはさておきその骨太の方針によると外国人の単純労働者の受け入れが事実上解禁になるようです。日本語力や滞在期間などいろいろ条件はあれど、いままでの留学生や技能実習生よりももっとシンプルで建前のない文字通り働く外国人を受け入れるということは間違いない(例えばこの日本経済新聞の記事)。

 介護の技能実習生の話が出てきて以来、外国人労働者の日本語がポイントのひとつになっています。たしかにコミュニケーションがうまくできなければ、利用者さんの安全、スタッフ間の連携、ひいては法人の信用、企業の存続問題にだってなりかねない。

 ですから外国人労働者のみなさん、日本語の勉強がんばって!というのは分からなくもないのですが、元々年限が限られたデカセギ、学習の環境が整備されているわけでも(WEB上で学習教材は整備するようです)そのための補助金が出るわけでもないところで働きながら学んでどれほどの日本語力を獲得できるのか。中学から学んだ英語を使って、我々は英語で介護の仕事が恙なくできるでしょうか?できる気がする人、挙手!

 そこで、角度を変えてもうひとつの可能性を考えてみましょう。外国人は日本語を勉強することで日本人に近づいていこうとしていますが、日本人が外国人に近づいていくことはできないのかということです。半年、1年日本語を学び、N4、N3という日本語力の外国人は、日本人同士のナチュラルな会話はところどころしか理解できないかもしれませんが、頭の中には日本語のストックが確実にあります。いささか乱暴な言い方になりますが、分かる日本語でお話すればコミュニケーションは成立します。

 「欠席の際はご連絡のほどをよろしくお願い申し上げます」と言うと全然伝わらないけれど、「休むときは電話ください」なら分かるかもしれないのです。

 やさしい日本語は災害時の情報伝達の手段としてよく語られますが、昨今の労働者の増加からすると、外国人といっしょに働く現場の日本人にとっても有効な手段ではないかと思われます。役所も然りです。中長期日本に滞在する外国人は社会保障上は日本人と大差なく、健康保険証も持ちますし、年金も払いますし、市県民税も払いますし、出産育児一時金ももらえます。ところが、この手続きでことごとくつまずきます。これらの日本語を支障のないレベルで理解するにはどれほどの学習が必要となるでしょうか?大学まで英語を学びましたが、たぶん英語圏でワタクシは自立して生きてはいけないです。このハードルを下げる努力を払うべきときに来ているように思います。

 手段はやさしい日本語だけではありません。資料、文書の多言語化が有効な場合もありますし、個別のケースでは母語での相談、通訳対応も必要になるでしょう。ですが、全ての場面に多言語資料が用意できるわけもなく(優先度の高いものは全国で使える汎用性のある多言語資料を用意すべき)、いつも通訳者が派遣できるわけではありません。外国人といっしょに働く我々日本人はなにができるのか、そろそろ国ぐるみで向き合うべきときが来ているのではないか。そして、そういった支援をボランティアまかせ、地方自治体まかせにするのもそろそろ考え時ではないか。そんなことを思う日々です。


とーます

新着図書のご案内

当協会図書資料室は、日本語の学習指導で必要とされる各種教材に特化して整備し、外国人に日本語を教えているボランティアの方々や県内の市町村日本語教室の方々を対象に貸し出しを行っております。

 

この図書資料室に整備した図書を下記の通り、ご紹介します。

 

「レベル別日本語多読ライブラリー にほんご よむよむ文庫 レベル3  vol.1?vol.3

発行:株式会社アスク出版

 

「レベル別日本語多読ライブラリー にほんご よむよむ文庫 レベル4  vol.1?vol.3

発行:株式会社アスク出版

 

「日本語能力試験対策 日本語パワードリル N1文字・語彙」

 「日本語能力試験対策 日本語パワードリル N2文字・語彙」

「日本語能力試験対策 日本語パワードリル N3文字・語彙」

発行:株式会社アスク出版

 

「新完全マスター語彙 日本語能力試験N3 ベトナム語版」

発行:株式会社スリーエーネットワーク

 

「新完全マスター聴解 日本語能力試験N4」

発行:株式会社スリーエーネットワーク

 

「日本で生活する外国人のためのいろんな書類の書き方」

発行:株式会社アスク出版

 

「日本語教育能力検定試験 分野別用語集」

発行:株式会社翔泳社

 

「平成29年度日本語教育能力検定試験  試験問題」

発行:株式会社凡人社

 

「初心者の間違いから学ぶ 日本語文法を教えるためのポイント30」

発行:株式会社大修館書店

 

「コミュニケーション能力を伸ばす授業づくり」

発行:株式会社スリーエーネットワーク

 

「日本語教師のための 日常会話力がグーンとアップする雑談指導のススメ」

発行:株式会社凡人社

 

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ご関心のある方は、当協会図書資料室にぜひ足をお運び下さい。

 

Sugar

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