ぐららの憂鬱

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 わたしの名前は「ぐらら」。地震が体験できる車なの。子どもからおじいちゃんおばあちゃんまでいろんな人びとに乗ってもらって、地震の怖さを知ってもらっているの。

 わたし、むかしはとても人気があったの。乗った人はみんなとても「楽しそう」だった。ジェットコースターにでも乗った気分になっていたみたい。イベント会場に行くと、わたしに乗るためにたくさんの人が並んでいたり。わたしもちょっとしたスターにでもなったような気がしたものだわ。

 ところが・・・あの日。ふだんはみなさんに地震の怖さを知っていただくわたしが、あの激しい揺れでつくづく地震の怖さを思い知ったわ。幸いなことにわたしは大きな怪我もなく、すぐにでもおしごとができる準備をしていたのだけれど、あの日を境におしごとがほとんど来なくなってしまったの。

 おしごとができない悔しさももちろんあったわ。だけど、なんとなくわかるような気もしたの。だって、あんな大きなほんとの地震を経験して、たくさんの人が亡くなって、たくさんの家が流されて、壊されて、みんなとても傷ついていたんだもの。そんな記憶が鮮明なときに、「さあ、大きな地震を体験してみましょう!」って、だれがしたいかしら。

 あれから7年。こないだ、わたしのおしごとのマネージャーのところにMIAのとーますっていう坊主づくりのおっさん、つい口が滑ったわ、おじさまがいらしたの。かれは日本語教室で勉強している外国人を対象に「防災について学ぶ会」をするので、協力をしてほしいということだったの。そのおじさまのお話では、いま宮城県にもたくさんの外国人がいらしていて、その方々のほとんどがあのときの地震を経験していないし、そもそもそんな大きな地震を経験したこともないひとたちなんですって。日本語もあまり分からず、地震の経験もなく、地震が来たらどうしていいか分からない人が日本で暮らしているのってとても不安なことじゃないかなって思ったわ。

 わたしのマネージャーは言ったわ。
「それでしたら、『ぐらら』で地震体験はいかがでしょうか?」

 とーますさんも深く頷いて、「人数がそんなに多くないんですが、『ぐらら』に来ていただけたら、とても充実した勉強になると思います。」って言っていたわ。

 わたしにとっても久々のおしごと。外国から来たひとたちにも地震の怖さを知っていただくためにがんばるわ。

 そして、わたしも歳をとったのでそろそろ引退しなくちゃいけないんだけど、それまでは精一杯おしごとするわ。MIAで日本語を勉強しているみなさん、来月お会いできることを楽しみにしています。


とーます

このブログ記事について

このページは、MIAが2018年4月19日 12:40に書いたブログ記事です。

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