親と別れて暮らすということ

 いまから書くことは特に寓話的な教訓を促す意図はなく、道徳的な意見を言うつもりもさらさらなく、家族についてかくあるべしといった信念があるわけでもなく、あくまで極めてドメスティックなことですから外野がとやかく言うことではないということを申し上げたうえで、最近聞いたある方の話を差しさわりのない範囲で書きたいと思います。

 Xさん。17歳、Y国出身。日本には1年ほど前にやってきました。両親ともにY国人。両親は、仕事のために日本にしばらく前から来ていました。その間、Xさんは母方の祖父母の家に預けられていました。

 こんなバッググラウンドはおよそ知っておりましたが、たまたまXさんとゆっくり話ができる時間ができて前々から気になっていたことをぶつけてみました。祖父母との生活はどうだったのか、と。

 「いやだった。」

即答でした。歳が離れすぎていて共通の話題もないし、がみがみ言われるし、若い人の様々な行動や興味が理解できないし。まあ、そうだろうなと思いました。我が愚息を我が愚両親に預けたら、早晩そうなるだろうな。

 仕事が軌道に乗り、また扶養家族として日本に呼び寄せられるのは未成年に限られるため、Xさんの父母は高校1年生となったXさんを日本に呼び寄せることを決意します。

 問いました、「日本に来るのは嫌じゃなかったのですか?」、と。

 「別に日本に来たかったわけではない。でも、あの生活はもっとうんざりしていた。」

 このような境遇にある方はXさんひとりではありません。宮城県の場合、日本人男性と結婚した外国人女性が、前の結婚のときの子どもを呼び寄せるということは震災前からあちこちで見られました。MIAはその子どもの学校でのサポートなどで多少なりとも関わりをもつことが多かったのです。

 ここからは憶測にすぎませんが、震災を境に連れ子はほぼなくなりました(あくまで宮城県内で我々が把握している範囲の話です)。震災、原発といったことが背景にあったように思います。震災から4、5年経たあたりからまた連れ子が増えてきました。呼び寄せられる年齢制限と震災からの復興状況などが加味されたのではと思います。ここ数年、そうしたお子さん、特にXさんのように現地の中学校を卒業してから来日し、日本語学習と受験対策を短期間のうちに進めながら、高校進学を目指す方がぽつぽついます。もしかしたら、もっと早く呼び寄せたかったけれど・・・というご事情もあるかもしれません。

 親は無くとも子は育つとは申せ・・・あるいは親がいたからとて子どもは健全に成長するというものでもないとも思うものの・・・Xさんとの対話でいろいろなことを思わせられました。


とーます
※我が最寄駅に最近掲げられた多言語表示。
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またのお越しをお待ちしていますの中国語訳、あたしゃこんな中国語これまで見たことない。おそらく自動翻訳じゃまいかと。

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このページは、MIAが2017年11月29日 10:45に書いたブログ記事です。

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